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2018年07月26日

自家用小型飛行機墜落事故から3年

平成27年7月26日10時58分頃、調布飛行場を離陸した自家用小型飛行機が、離陸直後、調布市富士見町1丁目の住宅街に墜落し炎上。
巻き込まれた住民1名、機長と同乗者1名の3名が死亡するという極めて悲惨な事故が発生してから3年が経ちました。

事故機の犠牲になってお亡くなりになった被害者の方のご冥福を改めてお祈り申し上げます。

死亡者以外は、同乗者3名が重傷、住民と消防士6名が負傷。
建物の被害は、全焼1棟、半焼1棟、部分焼2棟、ぼや7棟。


(2018年7月27日 朝日新聞DIGITAL



事故現場


日本エアロテック本社(調布市西町)


調布飛行場の管制塔・ターミナルビル・駐機している小型機。




事故発生以前の当該機(写真:運輸安全委員会「航空事故調査状況報告」より)


墜落現場(写真:運輸安全委員会「航空事故調査状況報告」より)



事故原因について

国土交通省・運輸安全委員会は、昨年7月18日に航空事故調査報告書を公表しました。(blue_right2017.7.18ブログ

報告書によると、事故原因は、事故機の最大離陸重量の超過や低速での離陸、過度な機首上げ姿勢の継続により、離陸上昇中に機体の速度が低下したことで、失速し墜落したものと推定されるとしていますが、背景にある「遊覧飛行」との因果関係についての言及はありませんでした。

事故機は、飛行目的を操縦技能を維持する「慣熟飛行」と申請し、伊豆大島に向かう予定でした。

しかしながら、報告書の「同乗者の口述」により、事故機の飛行目的が「慣熟飛行」ではなく、地元三市(調布市・三鷹市・府中市)と東京都との協定・覚書に違反する、観光目的の「遊覧飛行」だったことが改めて明らかになりました。

<同乗者の口述>(航空事故調査報告書P4)
同乗者B「搭乗することになったのは、同乗者Aから小型飛行機を借りて遊びに行かないかと誘われたことがきっかけ。同乗者C及び死亡した同乗者Dとは学生時代からの友人で、Aからの誘いの後、3人で小型飛行機を借りてどこかに行ってみようという話になった。伊豆大島まで行くことをAから提案され、小型飛行機に乗ることが目的だったので、行き先はどこでも良いと思い了承した」。



「遊覧飛行」について

平成16年3月に放送されたTBSテレビ「王様のブランチ〜新選組近藤勇の里 武蔵野・深大寺路線バスの旅」の中で、日本エアロテック社が調布飛行場内で運営する「プロペラカフェ」での遊覧飛行のPRが紹介され、「体験飛行」と称して「遊覧飛行」が行われている実態が初めて明らかになりました。

平成16年9月、調布市議会定例会での一般質問の答弁で、長友調布市長が「(遊覧飛行について)複数の飛行コースが設定され、所定の料金を支払えば、だれでも搭乗することができること。また、ホームページ等でも、これをPRしていたことを調布市として確認した」と答弁しました。(市議会平成16年第3回定例会会議録

また、平成17年5月の調布飛行場等対策特別委員会で、私が「TBSの番組で遊覧飛行が報道された。遊覧飛行が行われていたわけだから明らかな協定違反。協定違反が存在したという事実は大きいので、都に対して厳しい対応を」と発言したところ、政策調整担当副主幹が「遊覧飛行について、昨年3月にテレビ放映されて、その後調布市からも厳しく都に対して中止を求め、現在では遊覧飛行について、また遊覧飛行等、類似されるような飛行については一切行われていないと報告を都からもらっている」と答弁しました。(市議会平成17年5月10日調布飛行場等対策特別委員会会議録


こうした中、墜落事故が起きてしまったのです。


裁判について

警視庁は平成27年3月29日、無許可で客を乗せて「遊覧飛行」をしていたとして、航空法違反などの疑いで、事故機を管理していた「日本エアロテック」(本社:調布市西町)の小山純二社長と営業担当者、事故機を操縦して死亡した川村泰史機長と、法人としての同社を書類送検しました。

送検容疑では、2013年1月から事故当日まで計7回、国の許可を受けずに1機当たり約10万~130万円で客を乗せ、調布飛行場から鹿児島県の奄美群島や山口県などを往復する遊覧飛行を行ったとされています。
同社の調布飛行場への届け出は、操縦者の技量を維持する「慣熟飛行」でした。
(参照:「調布の小型機墜落、無許可でチャーター飛行の疑い」朝日新聞 2017.3.29、「調布墜落:無許可で客乗せ報酬 会社社長ら書類送検」毎日新聞 2017.3.29、「調布小型機墜落 社長ら航空法違反容疑で書類送検 無許可で遊覧飛行」東京新聞 2017.3.29)

また、時事通信によると、日本エアロテックは、少なくとも16年前からチャーター飛行や遊覧飛行を行っていたとしています。(「『有償飛行』15年前から=禁止の調布飛行場で-小型機墜落」時事ドットコム 2017.3.29)


今年5月18日、日本エアロテック社長の小山被告と同社に対して、東京地裁立川支部は有罪判決を出しました。

裁判官は、「平成25年1月から事故が起きた27年7月26日まで計4回、死亡した機長と共謀し、国の事業認可を得ずに10万~約128万円、計約250万円の料金を得たり、受け取る約束をしたりして、乗客計15人を乗せて飛行した」認定
小山被告懲役1年・執行猶予3年(求刑懲役1年)、同社に求刑通り罰金150万円を言い渡しました。
判決理由で川本清巌裁判長は、同社について「複数回にわたって都飛行場管理事務所及び国土交通省東京航空局から航空法違反の疑いで行政調査,指導を受けており,航空法の規律を適切に調査,理解する機会は十分にあったにもかかわらず,適法な業務体制を整えることなく本件犯行に及んだもの。安全確保を最大の目的とする航空法の趣旨をないがしろにしたものとして,厳しい非難を免れない」、小山被告について「航空法の重要な規制に関する調査を怠り,本件犯行に及んだ点自体,厳しく非難すべきである。加えて,法軽視の姿勢は著しいといわねばならない」と指摘しました。





blue_right判決文PDF(裁判所ウェブサイト)

被告側が控訴しなかったので、判決は6月1日に確定しました。
判決の確定を受けて、「事故」を「事件」に名称変更します。

また、墜落事件を巡っては、警視庁が業務上過失致死傷容疑で捜査を続けています。



都の被害者への対応について

都は平成28年6月の住民説明会において、
①事故発生時及び発生後の責任体制を確認するとともに、関係機関等との連携により、被害者が迅速に救済されるよう事故機の緊急時対応責任者等に積極的に働きかける。
②相談窓口を設け被害者からの要望や相談にきめ細かく対応し、都が責任を持って仮住まいの確保や被害家屋の撤去などの被害者支援を迅速に実施する方向で考えている。
などと説明しましたが、なかなか実行に至りませんでした。

このことは昨年7月18日の航空事故調査報告書においても「設置・管理者(東京都)は、これらの対策を着実に実施することが望ましい。」と明記されています。

この度、都はようやく都営空港を離着陸した飛行機が、都内で墜落事故を起こした場合、被害者の生活再建を支援できる「航空機墜落事故における新たな被害者支援制度」を創設し、8月1日から運用することになりました。
調布の事件の被害者については、遡って適用されます。





都の管理監督責任について

調布市に対する都の報告と異なり、遊覧飛行が繰り返し行われていたことが、裁判で明らかになりました。
都は遊覧飛行の実態について、どのように調査をしていたのでしょうか。

平成17年の段階で、都がきちんと調査をし、実質的に遊覧飛行を禁止していたら今回の痛ましい事故は起こらなかったと思うと残念でなりません。

三鷹市長・府中市長・調布市長の連名で平成29年3月30日に「航空法違反容疑が事実であれば、航空法違反に加え、地元市と都との協定・覚書に反する行為が繰り返されていたということであり、極めて遺憾。都に対する地元市及び地元住民の信頼が損なわれ、調布飛行場の管理運営者として都の管理監督責任が問われるものと指摘せざるを得ない」とする「調布飛行場における航空法違反等への対応について(要請)」を都に提出しました。



都からの回答はありませんが、遊覧飛行が常態化していた実態を見逃していた都の管理監督責任は極めて重いと言わざるを得ません。

調布市調布飛行場対策協議会(平成30年1月24日)の議事録によると、「住民説明会(平成29年11月21日)においては,本資料の説明に入る前に,東京都(港湾局島嶼小笠原空港整備担当部長)から,追加で実施した事故機関係者への聴き取り調査の結果,遊覧飛行などが疑われる不適切な飛行が散見されたことが説明され,併せて,当時の調布飛行場の管理体制が十分ではなかったことについて率直に認め,お詫びの言葉が述べられた」とあり、担当部長は一定の管理責任を認めたようですが、港湾局長も都知事も管理責任について何も発言をしていません。

私は、小池百合子都知事は都が遊覧飛行を見逃していた管理監督責任を認めるべきだと思います。

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    Posted by 大須賀 浩裕(おおすが ひろすけ) at 19:00│Comments(0)今日の出来事
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