アナザーストーリーズ 運命の分岐点「女王 美空ひばり 魂のラストステージ」

大須賀 浩裕(おおすが ひろすけ)

2016年06月25日 00:22

美空ひばりは好きですか?

美空ひばりは最も嫌いな歌手でした。
歌謡曲やフォークソングで育った私にとって、演歌は前世代の歌であり、「演歌の女王」美空ひばりは、前世代のすべてを代表する存在だったのです。

しかし、年を取るにつれ、だんだんと演歌が好きになってきます。
それでも最後まで美空ひばりだけは認めたくありませんでした。

それが、いつからかだんだんと「いい歌だな」と思うようになってきたのです。
理由は分かりません。

そんな時、「川の流れのように」と出会いました。
それまでの美空アレルギーは吹っ飛び、私の最も好きな曲になったのです。


美空ひばりさんは、27年前、1989年6月24日にお亡くなりになりました。


6月22日にNHKBSプレミアムで放送したのを録画しておいたアナザーストーリーズ 運命の分岐点「女王 美空ひばり 魂のラストステージ」を観ました。

美空さんの最後のコンサートが東京ドームでの復活コンサートだと思っている人は少なくありません。
しかし、実際は、その翌年、平成元年2月7日、北九州小倉でのコンサートが最後だったのです。
死のわずか4か月前、命をかけたラストステージでした。

(写真:NHKテレビより)



誰もラストコンサートとは思っていなかったため、映像は残されていません。
しかし、専属バンドの指揮者がバンドの音をチェックする為にコンサートを録音していたのです。
偶然生まれた貴重なテープから聞こえる美空さんの最後の歌声は圧巻です。

(写真:NHKテレビより)



番組は、美空さんの万が一の時は駆け寄ろうとしていた指揮者、コンサートを中止か続行かの決断を迫られたステージ責任者の息子・加藤和也さん、「川の流れのように」を製作し”最後の歌”に想いを託したレコード会社プロデューサー、肝硬変による静脈瘤破裂に備え客席最前列で気管内挿管セットを持って待機していた医師、異変に気づき舞台袖に駆け寄ったコンサートの音響スタッフ、親友の中村メイコさんらの証言を通して、美空さんがコンサートにどれだけ命をかけていたかを浮き彫りにしていきます。

これだけ素晴らしい出来のドキュメンタリーは滅多にありません。

6月28日(火) 午後11時45分からBSプレミアムで再放送されます。
ぜひ、観てください。


今晩は、ダウンロードした「川の流れのように」をずっと聞き続けていたいと思います。


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