2020年12月18日
第5回「東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会」
第5回「東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会」の結果が、東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)のホームページで公表されました。
1 日時 令和2年12月18日(金) 10:00~12:30
2 場所 NEXCO東日本関東支社東京外環工事事務所 会議室
3 審議概要
(1)調査状況(中間報告)、地盤の特性、施工データについて確認しました。
(2)陥没・空洞の要因分析(中間報告)について確認しました。
議事概要
1.調査状況(中間報告)
○調査状況の中間報告があり、次の点を確認した。
・陥没箇所、空洞箇所の Mg 層及び His 層において、地盤の緩み、天端レベルの落込みを確認した。なお、陥没箇所、空洞箇所での緩みは、トンネル直上部まで煙突状の緩み領域であることを確認した。また、ボーリング調査及びスウェーデン式サウンディングの結果より、陥没箇所、空洞1箇所の His 層の天端レベルの落込みはトンネル横断方向でトンネル直上に限定されていたことを確認した。
・陥没、空洞箇所周辺のトンネル直上において、トンネル上部から緩み領域が上方に拡大していることを確認した。なお、この緩み領域については、今後、具体的な対応を検討していくこととするが、ただちにこれが陥没・空洞等につながるものではないことを確認した。
・陥没、空洞の内部断面において、水で洗われた部分があることを確認した。
・表層地下水の流向・流速調査の結果より、平時では顕著な流れは確認できなかったが、降雨時に流速の上昇や流向の変化があることを確認した。
・陥没箇所において、下水管の損傷が確認されたが、地下水の水質調査の結果では下水や気泡の成分が検出されていないことを確認した。
・空洞1箇所において、下端が Mg 層にある用途不明のヒューム管があることを確認した。
・地歴調査の結果より、陥没があった地点付近は入間川の西に浅く円弧状に入り込んだ谷地形をなしており、入間川の過去の蛇行跡を想像させる地形であることをあらためて確認した。
2.地盤の特性
○東京外環全線の中で今回発生の陥没・空洞箇所周辺は、次の全てに該当する特殊な地盤条件であることをあらためて確認した。
- 掘削断面は、細粒分が少なく、均等係数が小さいため、自立性が乏しく、礫が卓越して介在し、シールドトンネル掘削土の塑性流動性の確保に留意する必要がある地盤であること。
- 掘削断面上部は、単一の砂層である流動化しやすい層が地表面近くまで連続している地盤であること。
- 表層部は、外環沿線における他の区間と比べ薄い地盤であること。
3.施工データ
○施工データの報告があり、次の点を確認した。
・夜間掘進休止時間に生じた閉塞を解除するために、沈降した砂礫を排土しながら起泡溶液を注入する等の特別な作業が陥没・空洞箇所周辺で行われており、その過程で切羽の緩みを生じさせ、煙突状に上方に拡大した可能性があることを確認した。
・気泡の地山への逸失が生じていた可能性が考えられ、その場合、排土体積評価に影響があることを確認した。
・シールド推進により生じるボイドが、地山探査装置で確認できない事象が発生していたものの、裏込め注入量や注入圧は管理値に適合していることを確認した。
・空気の上昇により、掘削断面上部の緩みの進展が助長される可能性はあるが、上昇する空気の圧力は体積膨張とともに減圧されるため、一般には土粒子に与える影響は小さいと考えられることを確認した。
・トンネル施工に伴う振動は55dB程度であり、振動エネルギーは地震動と比較して極めて小さいことを確認した。また、特殊な地盤条件により施工部の振動が地上部に届きやすいことを確認した。
・セグメントの損傷等の変状、シールド機スクリューコンベアからの土砂噴発やテールからの土砂噴出は生じていないことを確認した。
4.陥没・空洞の要因分析
○陥没・空洞事象について、想定される要因を列挙し、調査結果や施工データを用いた分析を行い、陥没・空洞事象は、年月をかけて形成された地下空洞が従前からあった可能性は否定できないものの、陥没・空洞箇所の下部がトンネル方向に局所的に引き込まれている現象がボーリング調査によって確認されていることから、特殊な地盤条件下において行われたシールドトンネルの施工が、陥没箇所を含む空洞の要因の一つである可能性が高いと推定されることを確認した。
○現時点では、陥没・空洞事象が形成された要因の特定には至っていないため、引き続き残る現地調査やそれらも踏まえた検証を早期に行い、陥没・空洞事象に関するメカニズムを特定する必要があることを確認した。
5.沿線住民の方への対応
○陥没や陥没につながる恐れがある空洞が発見された場合は、緊急時として位置付けるとともに、 その対応の基本的な考え方について報告があり、妥当であることを確認した。
○引き続き、陥没・空洞箇所及びその周辺の監視を重点的に行い、本委員会での議論の内容を説明するなど、周辺住民からの問合せ等に対し適切に対応するとともに、不安を取り除くことに努めることを確認した。
調査状況(中間報告)(抜粋)
地盤の特性
施工データ(抜粋)
陥没・空洞の要因分析
東京外環(関越~東名)トンネル工事の安全・安心確保の取組みの見直し(暫定版)について
「東京外かく環状道路(関越~東名)トンネル工事の安全・安心確保の取組み」について、 これまでトンネル内に掘削土以外の土砂等が大量流入する事象発生時を「緊急時」としてきたところであるが、今般の工事現場付近で発生した陥没・空洞事象を踏まえ、当面の間、以下の取組みを行う。
①調査等において、陥没や陥没につながる恐れがある空洞(以下、「陥没等」)が発見された時も「緊急時」とする。
②緊急時には事象について、すみやかに公表するとともに、陥没等の状況に応じた範囲に周知する。
③また、陥没等が発見された場合は、重点監視を行うなど、変状の変化に速やかに対応できる体制を取ることとする。
参考資料(抜粋)
<関連ニュース>
・住宅街陥没「工事が要因の一つの可能性高い」東日本高速道路(NHK NEWS WEB)
・調布陥没、被害補償へ 「トンネル工事が一因の可能性」(朝日新聞デジタル)
・東京・調布道路陥没、有識者委「トンネル工事が要因の可能性高い」(毎日新聞)
・調布陥没、トンネル工事「要因の一つ」…東日本高速道路が補償を表明(読売新聞オンライン)
1 日時 令和2年12月18日(金) 10:00~12:30
2 場所 NEXCO東日本関東支社東京外環工事事務所 会議室
3 審議概要
(1)調査状況(中間報告)、地盤の特性、施工データについて確認しました。
(2)陥没・空洞の要因分析(中間報告)について確認しました。
議事概要
1.調査状況(中間報告)
○調査状況の中間報告があり、次の点を確認した。
・陥没箇所、空洞箇所の Mg 層及び His 層において、地盤の緩み、天端レベルの落込みを確認した。なお、陥没箇所、空洞箇所での緩みは、トンネル直上部まで煙突状の緩み領域であることを確認した。また、ボーリング調査及びスウェーデン式サウンディングの結果より、陥没箇所、空洞1箇所の His 層の天端レベルの落込みはトンネル横断方向でトンネル直上に限定されていたことを確認した。
・陥没、空洞箇所周辺のトンネル直上において、トンネル上部から緩み領域が上方に拡大していることを確認した。なお、この緩み領域については、今後、具体的な対応を検討していくこととするが、ただちにこれが陥没・空洞等につながるものではないことを確認した。
・陥没、空洞の内部断面において、水で洗われた部分があることを確認した。
・表層地下水の流向・流速調査の結果より、平時では顕著な流れは確認できなかったが、降雨時に流速の上昇や流向の変化があることを確認した。
・陥没箇所において、下水管の損傷が確認されたが、地下水の水質調査の結果では下水や気泡の成分が検出されていないことを確認した。
・空洞1箇所において、下端が Mg 層にある用途不明のヒューム管があることを確認した。
・地歴調査の結果より、陥没があった地点付近は入間川の西に浅く円弧状に入り込んだ谷地形をなしており、入間川の過去の蛇行跡を想像させる地形であることをあらためて確認した。
2.地盤の特性
○東京外環全線の中で今回発生の陥没・空洞箇所周辺は、次の全てに該当する特殊な地盤条件であることをあらためて確認した。
- 掘削断面は、細粒分が少なく、均等係数が小さいため、自立性が乏しく、礫が卓越して介在し、シールドトンネル掘削土の塑性流動性の確保に留意する必要がある地盤であること。
- 掘削断面上部は、単一の砂層である流動化しやすい層が地表面近くまで連続している地盤であること。
- 表層部は、外環沿線における他の区間と比べ薄い地盤であること。
3.施工データ
○施工データの報告があり、次の点を確認した。
・夜間掘進休止時間に生じた閉塞を解除するために、沈降した砂礫を排土しながら起泡溶液を注入する等の特別な作業が陥没・空洞箇所周辺で行われており、その過程で切羽の緩みを生じさせ、煙突状に上方に拡大した可能性があることを確認した。
・気泡の地山への逸失が生じていた可能性が考えられ、その場合、排土体積評価に影響があることを確認した。
・シールド推進により生じるボイドが、地山探査装置で確認できない事象が発生していたものの、裏込め注入量や注入圧は管理値に適合していることを確認した。
・空気の上昇により、掘削断面上部の緩みの進展が助長される可能性はあるが、上昇する空気の圧力は体積膨張とともに減圧されるため、一般には土粒子に与える影響は小さいと考えられることを確認した。
・トンネル施工に伴う振動は55dB程度であり、振動エネルギーは地震動と比較して極めて小さいことを確認した。また、特殊な地盤条件により施工部の振動が地上部に届きやすいことを確認した。
・セグメントの損傷等の変状、シールド機スクリューコンベアからの土砂噴発やテールからの土砂噴出は生じていないことを確認した。
4.陥没・空洞の要因分析
○陥没・空洞事象について、想定される要因を列挙し、調査結果や施工データを用いた分析を行い、陥没・空洞事象は、年月をかけて形成された地下空洞が従前からあった可能性は否定できないものの、陥没・空洞箇所の下部がトンネル方向に局所的に引き込まれている現象がボーリング調査によって確認されていることから、特殊な地盤条件下において行われたシールドトンネルの施工が、陥没箇所を含む空洞の要因の一つである可能性が高いと推定されることを確認した。
○現時点では、陥没・空洞事象が形成された要因の特定には至っていないため、引き続き残る現地調査やそれらも踏まえた検証を早期に行い、陥没・空洞事象に関するメカニズムを特定する必要があることを確認した。
5.沿線住民の方への対応
○陥没や陥没につながる恐れがある空洞が発見された場合は、緊急時として位置付けるとともに、 その対応の基本的な考え方について報告があり、妥当であることを確認した。
○引き続き、陥没・空洞箇所及びその周辺の監視を重点的に行い、本委員会での議論の内容を説明するなど、周辺住民からの問合せ等に対し適切に対応するとともに、不安を取り除くことに努めることを確認した。
調査状況(中間報告)(抜粋)
地盤の特性
施工データ(抜粋)
陥没・空洞の要因分析
東京外環(関越~東名)トンネル工事の安全・安心確保の取組みの見直し(暫定版)について
「東京外かく環状道路(関越~東名)トンネル工事の安全・安心確保の取組み」について、 これまでトンネル内に掘削土以外の土砂等が大量流入する事象発生時を「緊急時」としてきたところであるが、今般の工事現場付近で発生した陥没・空洞事象を踏まえ、当面の間、以下の取組みを行う。
①調査等において、陥没や陥没につながる恐れがある空洞(以下、「陥没等」)が発見された時も「緊急時」とする。
②緊急時には事象について、すみやかに公表するとともに、陥没等の状況に応じた範囲に周知する。
③また、陥没等が発見された場合は、重点監視を行うなど、変状の変化に速やかに対応できる体制を取ることとする。
参考資料(抜粋)
<関連ニュース>
・住宅街陥没「工事が要因の一つの可能性高い」東日本高速道路(NHK NEWS WEB)
・調布陥没、被害補償へ 「トンネル工事が一因の可能性」(朝日新聞デジタル)
・東京・調布道路陥没、有識者委「トンネル工事が要因の可能性高い」(毎日新聞)
・調布陥没、トンネル工事「要因の一つ」…東日本高速道路が補償を表明(読売新聞オンライン)
Posted by 大須賀 浩裕(おおすが ひろすけ) at 23:00│Comments(0)
│東京外環 道路陥没事故
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