2017年07月18日
運輸安全委員会 自家用機墜落事故調査報告書を公表
2年前の平成27年7月26日、調布飛行場を離陸した小型自家用飛行機が、離陸直後、調布市富士見町1丁目の住宅街に墜落し炎上、住民1名と乗員2名が死亡し、住民と消防士6名・乗員3名が負傷するという極めて悲惨な事故が発生しましたが、本日、国土交通省運輸安全委員会が調査報告書を公表しました。
調査報告書概要(運輸安全委員会ホームページ)

<概要>
個人所属パイパー式PA-46-350P型JA4060は、平成27年7月26日(日)、調布飛行場滑走路17から離陸した直後、10時58分ごろ、東京都調布市富士見町の住宅に墜落した。
同機には、機長ほか同乗者4名の計5名が搭乗していたが、機長及び同乗者1名が死亡し、同乗者3名が重傷を負った。また、住民1名が死亡し、住民2名が軽傷を負った。
同機は大破し、火災が発生した。また、同機が墜落した住宅が全焼し、周辺の住宅等も火災等による被害を受けた。
<原因>
本事故は、同機が離陸上昇中、速度が低下したため、失速して飛行場周辺の住宅地に墜落したものと推定される。
速度が低下したことについては、最大離陸重量を超過した状態で飛行したこと、低速で離陸したこと及び過度な機首上げ姿勢を継続したことによるものと推定される。
最大離陸重量を超過した状態で飛行したことについては、機長が事故時の飛行前に同重量の超過を認識していたかどうかは機長が死亡しているため明らかにすることができなかった。しかしながら、そのような状態で飛行することの危険性について機長の認識が不足していたとともに、法令や規定を遵守することについての安全意識が十分でなかった可能性が考えられる。
低速で離陸したことについては、機長がそのような速度で離陸する手順を行った、又は機体の位置が滑走路末端に近づいてきたため機長が反応して離陸したことによる可能性が考えられる。
過度な機首上げ姿勢を継続したことについては、重心位置が後方限界近くにあったことにより機首上げが発生しやすい状態において、機長が速度よりも上昇を優先させて機首上げ姿勢を維持したことによる可能性が考えられる。
また、速度が低下したことについては、これらの要因に加えて、数学モデルを使用した分析の結果から、同機のエンジン出力が低下していたことによる可能性も考えられるが、これを明らかにすることはできなかった。
<死傷者数>
3名死亡(機長、同乗者及び住民)、3名重傷(同乗者)、2名軽傷(住民)
航空事故調査報告書(運輸安全委員会ホームページ)
航空事故調査状況報告(運輸安全委員会ホームページ)
調査報告書 説明資料(運輸安全委員会ホームページ)





また、航空事故調査報告書の同乗者の口述により、事故機の飛行目的が、飛行技術維持のための「慣熟飛行」ではなく、地元三市(調布市・三鷹市・府中市)と東京都との協定・覚書に反する観光目的の「遊覧飛行」だったことが改めて明らかになりました。
同乗者の口述(航空事故調査報告書P4)
同乗者A「今回のフライトは自分が友人を誘い、大島に行くプランを立てた。」
同乗者B「同機に搭乗することになったのは、以前から知り合いであった同乗者Aから小型飛行機を借りて遊びに行かないかと誘われたことがきっかけだった。同乗者C及び死亡した同乗者Dとは学生時代からの友人で、Aからの誘いの後、3人で小型飛行機を借りてどこかに行ってみようという話になった。伊豆大島まで行くことをAから提案され、小型飛行機に乗ることが目的だったので、行き先はどこでも良いと思い了承した。」
ちなみに、事故機を整備・管理していた日本エアロテック株式会社(本社調布市西町)と、同社の小山純二社長ら2人、死亡した川村泰史機長の計3人が、調布飛行場では禁止されている遊覧飛行を繰り返すなど、国の許可を得ず航空事業を行っていた航空法違反容疑で警視庁により今年3月29日に書類送検されています。
調布の小型機墜落、無許可でチャーター飛行の疑い(朝日新聞2017.3.29)
今回の調査報告書の公表はマスコミでも大きく報道されました。
朝日新聞

読売新聞

毎日新聞

産経新聞

東京新聞

日本経済新聞

NHKテレビ

日本テレビ

TBSテレビ

フジテレビ

TOKYO MXテレビ

小型自家用機墜落事故関連の主な過去ブログ
2017.3.29「調布の小型機墜落事件 管理会社を航空法違反容疑で書類送検へ」
2016.7.26「小型機墜落事故から1年」
2015.7.28「調布市議会 東京都に『飛行機墜落事故に関する要請』」
2015.7.27「小型機墜落事故 続報」
2015.7.26「調布市富士見町の住宅街に小型機墜落」
調査報告書概要(運輸安全委員会ホームページ)

<概要>
個人所属パイパー式PA-46-350P型JA4060は、平成27年7月26日(日)、調布飛行場滑走路17から離陸した直後、10時58分ごろ、東京都調布市富士見町の住宅に墜落した。
同機には、機長ほか同乗者4名の計5名が搭乗していたが、機長及び同乗者1名が死亡し、同乗者3名が重傷を負った。また、住民1名が死亡し、住民2名が軽傷を負った。
同機は大破し、火災が発生した。また、同機が墜落した住宅が全焼し、周辺の住宅等も火災等による被害を受けた。
<原因>
本事故は、同機が離陸上昇中、速度が低下したため、失速して飛行場周辺の住宅地に墜落したものと推定される。
速度が低下したことについては、最大離陸重量を超過した状態で飛行したこと、低速で離陸したこと及び過度な機首上げ姿勢を継続したことによるものと推定される。
最大離陸重量を超過した状態で飛行したことについては、機長が事故時の飛行前に同重量の超過を認識していたかどうかは機長が死亡しているため明らかにすることができなかった。しかしながら、そのような状態で飛行することの危険性について機長の認識が不足していたとともに、法令や規定を遵守することについての安全意識が十分でなかった可能性が考えられる。
低速で離陸したことについては、機長がそのような速度で離陸する手順を行った、又は機体の位置が滑走路末端に近づいてきたため機長が反応して離陸したことによる可能性が考えられる。
過度な機首上げ姿勢を継続したことについては、重心位置が後方限界近くにあったことにより機首上げが発生しやすい状態において、機長が速度よりも上昇を優先させて機首上げ姿勢を維持したことによる可能性が考えられる。
また、速度が低下したことについては、これらの要因に加えて、数学モデルを使用した分析の結果から、同機のエンジン出力が低下していたことによる可能性も考えられるが、これを明らかにすることはできなかった。
<死傷者数>
3名死亡(機長、同乗者及び住民)、3名重傷(同乗者)、2名軽傷(住民)








また、航空事故調査報告書の同乗者の口述により、事故機の飛行目的が、飛行技術維持のための「慣熟飛行」ではなく、地元三市(調布市・三鷹市・府中市)と東京都との協定・覚書に反する観光目的の「遊覧飛行」だったことが改めて明らかになりました。
同乗者の口述(航空事故調査報告書P4)
同乗者A「今回のフライトは自分が友人を誘い、大島に行くプランを立てた。」
同乗者B「同機に搭乗することになったのは、以前から知り合いであった同乗者Aから小型飛行機を借りて遊びに行かないかと誘われたことがきっかけだった。同乗者C及び死亡した同乗者Dとは学生時代からの友人で、Aからの誘いの後、3人で小型飛行機を借りてどこかに行ってみようという話になった。伊豆大島まで行くことをAから提案され、小型飛行機に乗ることが目的だったので、行き先はどこでも良いと思い了承した。」
ちなみに、事故機を整備・管理していた日本エアロテック株式会社(本社調布市西町)と、同社の小山純二社長ら2人、死亡した川村泰史機長の計3人が、調布飛行場では禁止されている遊覧飛行を繰り返すなど、国の許可を得ず航空事業を行っていた航空法違反容疑で警視庁により今年3月29日に書類送検されています。

今回の調査報告書の公表はマスコミでも大きく報道されました。
朝日新聞

読売新聞

毎日新聞

産経新聞

東京新聞

日本経済新聞

NHKテレビ

日本テレビ

TBSテレビ

フジテレビ

TOKYO MXテレビ

小型自家用機墜落事故関連の主な過去ブログ





Posted by 大須賀 浩裕(おおすが ひろすけ) at 23:01│Comments(0)
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